《 iパス用語解説》労働者派遣法(労働者派遣事業法)とは何か。大まかな説明付き。IT / ICT Glossary「IT担当者からのファーストリポート」

労働者派遣法(労働者派遣事業法)
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「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。

iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。

今回のキーワードは「労働者派遣法(労働者派遣事業法)」です。

大まかに説明すると

労働者派遣法は、派遣労働者の権利を守り、派遣という働き方を適正に運用するためのルールを定めた法律です。

派遣労働は「給与を支払う雇用主(派遣元)」と「実際に業務の指示を出す会社(派遣先)」が異なるという大きな特徴があります。

なぜこの法律を学ぶ必要があるかというと、将来自分が派遣社員として働く場合や、職場で派遣社員を受け入れて一緒に働く場合に、責任の所在や禁止事項などの正しいルールを知り、トラブルを防ぐためです。

労働者派遣法とは?〜「雇い主」と「働く場所」が違う働き方〜

労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と言います。

その名の通り、労働力の需給調整を図るとともに、派遣労働者の保護や雇用の安定を図ることを目的としています。

一般的な正社員やアルバイトの場合、雇用契約を結んだ会社で働き、その会社から業務の指示を受けます。

しかし派遣労働の場合、労働者は「派遣会社(派遣元)」と雇用契約を結びますが、実際に働く場所は「派遣先」の企業であり、業務の指示(指揮命令)も派遣先から受けます。

このように「雇用関係」と「指揮命令関係」が分かれているのが、派遣という働き方の最大の特徴です。

なぜこの法律を学ぶ必要があるのか?

働き方が多様化する現代において、皆さんが将来派遣社員として働く可能性もあれば、正社員として配属された職場で派遣社員を受け入れ、一緒に働く可能性も十分にあります。

その際、正しいルールを知らないと大きなトラブルにつながりかねません。

例えば、給与の支払いや有給休暇の付与、社会保険の手続きを行うのは雇用主である「派遣元」の責任ですが、日々の労働時間の管理や業務上の具体的な指示、職場の安全衛生の確保などは「派遣先」の責任となります。

また、派遣先が履歴書を求めたり事前面接をして派遣労働者を選考することの禁止や、同じ事業所の同じ組織単位(部署)で受け入れられる期間は原則3年までという期間制限などの厳格なルールが存在します。

これらを理解しておくことは、自分自身の身を守るため、そして一緒に働く仲間と適切な関係を築くために非常に重要です。

IT業界における派遣と「請負」との違い

IT業界は、プロジェクトごとに必要なスキルを持った専門人材を柔軟に確保するため、派遣という働き方が非常に多く利用されている業界です。

システム開発などの現場では、この法律の知識が特に求められます。

IT業界でよく問題になるのが、「派遣」と「請負」の違いです。

「請負」は仕事の完成に対して報酬が支払われる契約であり、発注者は請負労働者に対して直接指示(指揮命令)を出すことはできません。

しかし、実態としては請負契約なのに、発注者が労働者に直接指示を出してしまう「偽装請負」と呼ばれる違法行為が発生することがあります。

こうした違法な環境で働かされたり、知らずに法律違反を犯したりしないためにも、労働者派遣法の正しい知識が不可欠なのです。

派遣という働き方(派遣労働)のメリットとデメリット

メリット

1. キャリアアップや教育訓練の機会が保障されている

派遣会社(派遣元事業主)には、派遣労働者のキャリアアップを図るための措置をとる義務があります。

具体的には、段階的かつ体系的な教育訓練(有給・無償で受講可能)を実施することや、希望する労働者に対してキャリア・コンサルティングを行うことが定められており、スキルを磨く機会が保障されています。

2. 「紹介予定派遣」を利用すれば、自分に合った職場での直接雇用につながりやすい

一定期間(最長6か月)派遣社員として働いた後、正社員などの直接雇用に切り替わることを前提とした「紹介予定派遣」という仕組みがあります。

この制度を利用すると、派遣期間中に労働者と企業(派遣先)の双方がお互いを見極めることができるため、ミスマッチを防ぎ、安定的な直接雇用につながりやすいという大きなメリットがあります。

3. 雇用安定のための保護措置がある

同じ派遣先の部署(組織単位)で継続して3年間働く見込みがある派遣労働者に対しては、派遣会社は派遣終了後の雇用を継続するための「雇用安定措置」を講じる義務があります。

具体的には、派遣先への直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供、派遣会社での無期雇用化などの措置が行われます。

デメリット(注意点)

1. 雇用が不安定になりやすく、働く期間に上限(ルール)がある

派遣労働は、原則として「臨時的・一時的な働き方」と位置づけられているため、長期的な雇用の安定やキャリア形成が図られにくいという課題があります。

労働者派遣法では、常用労働者(正社員など)の代替を防ぐ目的などから、「同一の派遣労働者が、派遣先の同じ部署(組織単位)で働ける期間は原則3年まで」という厳格な期間制限(個人単位の期間制限)が設けられています。

そのため、同じ職場で長く働き続けたいと思っても、3年を上限に職場を変えなければならないケースがあります。

2. 派遣先都合による「中途解除」のリスクがある

業績悪化など、派遣先の都合によって派遣契約の期間途中で契約が打ち切られる(中途解除される)リスクがあります。

ただし、法律では派遣契約が解除されたからといって、派遣会社との雇用契約が即座に解除されるわけではないと定められています。

派遣会社には、新たな就業機会を確保したり、次の派遣先が見つかるまで休業手当を支払うなどして、雇用の維持を図る責任があります。

3. 正社員との待遇格差の懸念(現在はルールで改善)

かつては、同じ職場で働く正社員(通常の労働者)との間で待遇格差が存在することが問題視されていました。

しかし現在の法律では、この格差をなくし「同一労働同一賃金」を実現するため、派遣先の通常の労働者と不合理な待遇差を設けないようにする「派遣先均等・均衡方式」か、一定の要件を満たした「労使協定方式」のいずれかの方法で、公正な待遇を確保することが派遣会社に義務付けられています。

まとめ

労働者派遣法は、複雑な雇用形態である派遣労働において、労働者の権利と安全を守るための大切な法律です。

雇用主と指示を出す企業が異なるという特殊な仕組みを正しく理解し、誰がどのような責任を負うのかを明確にしておくことは、どのような立場で働くにせよ、すべての社会人に求められる必須の知識と言えるでしょう。

本キーワードの関連情報

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試験のご参考にもなれば幸いです。

カテゴリ

ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」

6. 労働関連・取引関連法規

目標

  • 身近な労働関連法規の概要を理解する。
  • 身近な取引関連法規の概要を理解する。

説明

労働条件や取引に関する条件を整備し、働き方改革を推進するためにも、労働関連法規、取引関連法規があることを知り、その概要を理解する。

(1) 労働関連法規

  • 労働契約法、労働基準法、労働者派遣法などの基本的な考え方。
  • 労働安全衛生法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)など、労働者の安全、心身の健康、雇用の安定化、職業生活の向上を目的とした法律があること。

参考・引用元資料

【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html


ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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