「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「裁量労働制」です。
大まかに説明すると
裁量労働制とは、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ労使間で定めた時間(みなし労働時間)を働いたものとみなす制度です。
業務の進め方や時間配分を労働者自身の裁量に委ねる必要性が高い業務に適用されます。
対象となる業務には「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があり、IT業界におけるシステムの分析・設計業務なども含まれます。
多様な働き方が広がる現代において、この制度の仕組みや法規を学ぶことは、自分に合った働き方を選択し、自身の権利を守るために非常に重要です。
裁量労働制とは何か
通常の働き方では「1日8時間」といった実際の労働時間に基づいて給与が計算されます。
しかし「裁量労働制」は、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ会社と労働者の間で定めた時間(みなし労働時間)を働いたものとみなして賃金が支払われる制度です。
この制度は、業務の性質上、仕事の進め方や時間配分を労働者自身の裁量に大きく委ねる必要がある業務に適用されます。会社から具体的な指示を受けず、自分のペースで仕事を進められるのが特徴です。
裁量労働制には、大きく分けて2つの種類があります。
専門業務型裁量労働制
業務の性質上、仕事の進め方や時間配分を労働者の裁量に大きく委ねる必要があるとして、法令で具体的に指定された20の業務に限定されています。
例:新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの分析・設計、デザイナー、コピーライター、ゲーム用ソフトウェアの創作、弁護士、公認会計士など。
※令和6年4月よりM&Aアドバイザーが追加されました。
企画業務型裁量労働制
特定の職種に限定されるのではなく、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」が対象となります。
企業の経営方針や事業計画に深く関わる業務であり、かつ、業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務に限られます。
例:本社での全社的な事業戦略の策定、新たな人事制度の策定など。
※対象労働者は、その業務を適切に遂行するための知識や経験を有している必要があります(目安として3〜5年程度の職務経験など)。
補足:両者に共通するルール(令和6年4月改正)
2024年(令和6年)4月1日より制度が改正され、現在はどちらの制度を導入する場合でも、必ず「労働者本人の同意」を得ることが必須となっています。
また、「同意をしなかった場合の不利益取扱いの禁止」や「同意の撤回手続きを定めること」なども両制度に共通する重要なルールです。
IT業界での活用例
IT業界において、裁量労働制は非常に馴染み深い制度です。「専門業務型裁量労働制」の対象業務には、「情報処理システムの分析又は設計の業務(システムエンジニアなど)」や、「ゲーム用ソフトウェアの創作の業務」が含まれているからです。
システム開発やゲーム制作は、時間よりも「いかに質の高い成果物を生み出すか」が重視されます。
集中して作業を進めたり、適度にリフレッシュしたりと、労働時間と成果が必ずしも比例しない職種において、この制度は適しています。
なぜ「裁量労働制」を学ぶのか?
皆さんが社会に出て働く際、企業がどのような労働制度を採用しているかを知ることは、自分に合った職場を選ぶための重要な基準となります。
裁量労働制は、自由度が高く効率よく働ける魅力的な制度です。
しかし一方で、仕事の自己管理ができないと長時間労働に陥るリスクや、実際の労働時間がみなし労働時間を超えても原則として残業代が出ない(休日や深夜労働などを除く)といった側面もあります。
制度の仕組みや法的なルールを正しく学んでおくことは、自分が制度の対象になった際に適正な判断を下し、不当な労働条件から自分の身を守ることに直結します。
また、ITエンジニアとして企業の勤怠管理システムなどを設計・開発する際にも、こうした労働法規の知識は不可欠な基盤となります。
まとめ
裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく「みなし労働時間」で働き、業務の進め方や時間配分を自らの裁量で決定できる制度です。
IT業界のシステムエンジニアなど、成果が重視される職種で多く取り入れられています。
自由度が高い反面、徹底した自己管理が求められます。
これから働くにあたり、多様な働き方の選択肢として、また自身の権利を守るための基礎知識として、ぜひ覚えておきましょう。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ
ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」
6. 労働関連・取引関連法規
目標
- 身近な労働関連法規の概要を理解する。
- 身近な取引関連法規の概要を理解する。
説明
労働条件や取引に関する条件を整備し、働き方改革を推進するためにも、労働関連法規、取引関連法規があることを知り、その概要を理解する。
(1) 労働関連法規
- 労働契約法、労働基準法、労働者派遣法などの基本的な考え方。
- 労働安全衛生法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)など、労働者の安全、心身の健康、雇用の安定化、職業生活の向上を目的とした法律があること。
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。




