「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「労働契約法」です。
大まかに説明すると
労働契約法は、労働者と使用者の「自主的な合意」を基本とし、労働契約の成立や変更に関する民事的なルールを定めた法律です。
労働基準法が最低基準を定める「罰則付きのルール」であるのに対し、本法は紛争を未然に防ぎ、労働者の保護と関係の安定を図る「ガイドライン」の役割を担います。
信義誠実や安全配慮義務など、働く上で守るべき5つの原則が中心となっており、IT社会における多様な働き方を支える基盤となります。
はじめに
今回は「労働契約法(ろうどうけいやくほう)」について解説します。
働くときに、会社と個人が「お互いに」立場を利用して一方的に権利を振りかざさず「安心・納得して」仕事を続けるための大切な法律です。
労働契約法は、契約をめぐるトラブルを未然に防ぐための「民事的なルール」をまとめたものです。
なぜこの法律が必要になったのか、その背景と具体的な中身を見ていきましょう。
労働契約法が生まれた背景
近年、働き方が多様化し、会社と個人の間でトラブル(個別労働関係紛争)が増えています。
以前は裁判にならないと判断基準が分かりにくい「判例」ばかりでしたが、それを誰にでも分かりやすく体系的な法律としてまとめたのが労働契約法です。
「何が正しいルールか」をあらかじめ明らかにしておくことで、会社も個人も予測を持って行動できるようになり、トラブルの防止に役立っています。
労働契約の「5つの原則」
第3条では、契約を結んだり変更したりする際の基本理念として、以下の5つを定めています。
労使対等の原則
会社と労働者が対等な立場で合意すること。
「対等な立場で」話し合いましょう
会社(社長さんや上司)の方が立場が強く見えたり、労働者の方が法律で守られて権利を強く主張できそうに見えたりしますが、法律では「会社と働く人は、対等なパートナー」だと決まっています。
どちらかが無理やり押し付けるのではなく、お互いが納得して「これでいきましょう」と合意して契約を結んだり、内容を変えたりしなければなりません。
均衡考慮の原則
仕事の実態に合わせて、バランス(均衡)の取れた待遇にすること。
「仕事の内容」に合った条件にしよう
例えば、同じような仕事をしていれば、お給料や休みなどの条件もバランスが取れていなければいけません。
「正社員だから」「バイトだから」という理由だけで、仕事内容に見合わないほど極端に差をつけるのはNGです。「実際にどんな働き方をしているか」を見て、バランスを考えようというルールです。
仕事と生活の調和(ワークライフバランス)への配慮
仕事と生活の調和を大切にすること。
「仕事とプライベート」の両立を大切にしよう
最近よく聞く「ワークライフバランス」のことです。
仕事ばかりで自分の生活(趣味、家族、休養など)がボロボロにならないよう、会社も働く人も、生活との調和を考えて契約を決めましょう。
労働契約の遵守と信義誠実の原則
お互いに信頼を裏切らず、誠実に義務を果たすこと。
「約束」を守り、お互いを裏切らない
契約したことはしっかり守りましょう。
会社は給料をちゃんと払う、働く人は一生懸命仕事をする。当たり前のことですが、「相手を信頼して、正直に行動すること」が法律で義務付けられています。
権利濫用の禁止
立場を利用して、一方的に権利を振りかざしてはいけないこと。
「自分の権利」を自分勝手に使わない
いくら法律や契約で認められている権利でも、相手をいじめたり、嫌がらせをしたりするために使うのはダメです。
これを「権利の濫用(らんよう)」と言います。会社側だけでなく、働く側も「自分の権利なんだから何をやってもいい」というわけではありません。
補足
会社側がダメな例
「会社にはクビにする権利がある」と言って、ちょっとしたミスをしただけでいきなり解雇する。
働く側(あなた)がダメな例
「自分には辞める権利がある」と言って、わざと一番忙しい日に、何の引き継ぎもせず突然辞めて会社や同僚に損害を与える。
あるいは、「有給休暇を取る権利がある」からといって、嫌がらせ目的で周りに迷惑をかけるような取り方をする。
成立と変更のルール
労働契約は、労働者が「働きます」、会社が「賃金を払います」という合意によって成立します(第6条)。
また、契約内容(労働条件)を変更する場合も、原則として労使の合意が必要です(第8条)。
会社が就業規則を勝手に変えて、労働者に不利益な条件を押し付けることは原則できませんが、その変更が「合理的」で「周知」されている場合には認められることもあります(第10条)。
第5条:安全配慮義務
非常に重要なのが、この「安全配慮義務(あんぜんはいりょぎむ)」です。
会社は、労働者が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をしなければなりません。
これには「心身の健康」、つまりメンタルヘルスの保護も含まれます。
長時間労働による過労やストレスから守ることは、会社の法的な義務なのです。
まとめ
労働契約法は、会社と皆さんが「合意」の上で対等なパートナーとして働くための法律であり、ルールブックです。
「労働基準法(罰則あり)との違い」や、「安全配慮義務は心身の健康も含む」といった点も大切です。
自分自身の身を守る知識として、しっかり理解しておきましょう。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ
ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」
6. 労働関連・取引関連法規
目標
- 身近な労働関連法規の概要を理解する。
- 身近な取引関連法規の概要を理解する。
説明
労働条件や取引に関する条件を整備し、働き方改革を推進するためにも、労働関連法規、取引関連法規があることを知り、その概要を理解する。
(1) 労働関連法規
- 労働契約法、労働基準法、労働者派遣法などの基本的な考え方。
- 労働安全衛生法、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)など、労働者の安全、心身の健康、雇用の安定化、職業生活の向上を目的とした法律があること。
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。




