《 iパス用語解説》個人情報の「第三者提供」とは何か。大まかな説明付き。IT / ICT Glossary「IT担当者からのファーストリポート」

第三者提供
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「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。

iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。

今回のキーワードは「個人情報の第三者提供」です。

大まかに説明すると

「第三者提供」とは、個人情報取扱事業者が、保有する個人データを本人以外の「第三者」(他の会社など)に提供することです。

個人情報保護法の大原則として、第三者提供を行うには、原則として「あらかじめ本人の同意(オプトイン)」を得なければなりません。

ただし、例外として「法令に基づく場合」や「人の生命・身体の保護に必要な場合」などは同意が不要です。

また、「オプトアウト」方式(個人情報保護委員会への届出が必要)でも同意なしの提供が可能です。

なお、「業務の委託」や「事業承継」は、法律上「第三者提供」とはみなされず、本人の同意は不要です。

はじめに

今回は、「個人情報保護法」のルールの中でも、特にトラブルになりやすく、厳しく規制されている「第三者提供」について解説します。

事業者が、預かった個人情報を他の誰かに渡すときのルールです。

第三者提供とは?

「第三者提供」とは、文字通り、個人情報取扱事業者が、保有している個人データを、本人以外の「第三者」に提供(渡す)することです。

  • 本人:個人情報の持ち主(例:会員登録をした私たち)
  • 個人情報取扱事業者:情報を預かっている会社(例:A社)
  • 第三者:本人でも事業者でもない、他の人や会社(例:B社)

A社が、顧客である私たちの個人情報を、B社に売ったり、あげたりする行為が「第三者提供」にあたります。

【最重要】第三者提供の「大原則」

絶対に押さえるべき大原則があります。

個人データを第三者に提供する場合、原則として、あらかじめ「本人の同意(許可)」を得なければならない。

これは、「オプトイン」の記事で学んだことと同じです。

A社がB社に私たちの情報を渡したいなら、A社は事前に、私たち本人に対して「あなたの情報をB社に渡しても良いですか?」と確認し、「はい、良いですよ」という許可(同意)を得る必要があるのです。

もし、この同意なしに勝手に情報を提供したら、重大な法律違反となります。

「同意」が不要な場合の「例外」

原則は「本人の同意が必要」ですが、世の中には例外もあります。

「こういう場合には、本人の同意がなくても第三者に提供して良いですよ」と法律で認められているケースです。

試験ではこの例外が問われることもあります。

主な例外は以下の通りです。

  1. 法令(法律)に基づく場合
    • (例:警察や裁判所から、犯罪捜査のために「情報を提供してください」と正式な令状が出た場合)
  2. 人の生命、身体または財産の保護に必要な場合
    • (例:災害が発生し、意識不明の人の身元を家族に確認するために、病院が持っている情報を警察に提供する場合)
  3. 公衆衛生の向上、児童の健全な育成に必要な場合
    • (例:感染症の拡大を防ぐために、保健所が医療機関に情報を提供する場合)
  4. オプトアウト方式による場合
    • 前回の記事で学んだ「オプトアウト」です。
    • 「本人に通知」し、「個人情報保護委員会に届け出て」いれば、本人の「事前同意」がなくても提供できます。(ただし、本人が「停止して」と言ったら停止しなければなりません)

「第三者提供」にあたらないケース(注意点)

  1. 委託
    • 例:A社が、商品の発送業務を「宅配業者C社」に任せる(委託する)ために、C社にお客さんの住所や名前を渡す。
    • この場合、A社がC社をしっかり監督する(変な使い方をしないか見張る)ことが条件です。
  2. 事業の承継
    • 例:A社が倒産したり、他のD社に買収されたりして(事業承継)、A社が持っていた顧客情報が丸ごとD社に引き継がれる。
  3. 共同利用
    • 例:A社とE社がグループ会社で、「グループ全体でお客様サポートをするため」に、顧客情報をA社とE社で一緒に使う(共同利用する)。
    • この場合は、共同利用することを事前に本人に通知しておく必要があります。

まとめ

「第三者提供」とは、事業者が個人データを本人以外の他人に渡すことです。

  • 大原則あらかじめ本人の同意(オプトイン)が必要
  • 例外(同意不要):①法令に基づく場合、②生命・身体の保護、③オプトアウト方式(届出が必要)など。
  • 第三者提供にあたらない(同意不要):①委託、②事業承継、③共同利用。

この「原則」と「例外」の区別、特に「委託」や「オプトアウト」が同意不要のケースとして扱われる点をしっかり理解しておきましょう。

本キーワードの関連情報

今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。

カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」

5. セキュリティ関連法規

目標「代表的なセキュリティ関連法規の概要を理解する。」

説明1「我が国のサイバーセキュリティに関する施策の基本となる事項等を定めたサイバーセキュリティ基本法があることを知り、その概要を理解する。」
説明2「実際に被害がなくても罰することができる、不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)があることを知り、その概要を理解する。」
説明3「パーソナルデータ、個人情報、個人データの違いを理解する。」
説明4「その他、情報セキュリティに関連する各種法律の概要を理解する。」

(3) 個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)

  • 保護の対象となる個人情報、適用される事業者、義務規定など。

参考・引用元資料

【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html


ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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