《 iパス用語解説》パブリックドメインソフトウェアとは何か。大まかな説明付き。IT / ICT Glossary「IT担当者からのファーストリポート」

パブリックドメインソフトウェア
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「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。

iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。

今回のキーワードは「パブリックドメインソフトウェア」です。

大まかに説明すると

パブリックドメインソフトウェア(PDS)は、著作権が存在しない、あるいは放棄されたソフトウェアのことです。

「パブリックドメイン」とは「公有」を意味し、社会全体の共有財産として扱われます。

そのため、利用、改変、再配布、商用利用など、文字通り「何をしてもよい」完全に自由なソフトウェアです。

オープンソースソフトウェアのようなライセンス(利用許諾契約)による制約すらなく、最も自由度の高いソフトウェアと言えます。

パブリックドメインソフトウェア(PDS)とは?完全に自由なソフトウェア

はじめに

これまで、オープンソースソフトウェア(OSS)やフリーソフトウェアなど、ソースコードが公開され、自由な利用が認められているソフトウェアを学んできました。

しかし、それらには「ライセンス」という、守るべき最低限のルールがありました。

では、そのルールすら存在しない、完全に自由なソフトウェアはあるのでしょうか?

それが今回解説する「パブリックドメインソフトウェア(PDS)」です。

パブリックドメインとは?

まず、「パブリックドメイン(Public Domain)」という言葉を理解しましょう。

これは日本語で「公有」と訳され、著作権をはじめとする知的財産権が存在しない状態のことを指します。

通常、小説や音楽、ソフトウェアなどの著作物には、作った人(著作者)の権利である「著作権」が発生します。

しかし、以下のようなケースでは、著作物がパブリックドメインになります。

  1. 著作権の保護期間が満了した場合
    • 日本では、著作者の死後70年で著作権が消滅し、パブリックドメインになります。
  2. 著作者が権利を放棄した場合
    • 作った人自身が「私のこの作品に関する一切の権利を放棄します。皆さんご自由にお使いください」と意思表示した場合。

パブリックドメインソフトウェア(PDS)は、主にこの2番目のケースにあたります。

パブリックドメインソフトウェア(PDS)の特徴

PDSの最大の特徴は、「いかなる制約も存在しない」という点です。

  • ライセンスがない
    • OSSやフリーソフトウェアには、GPLなどのライセンスがあり、「著作権表示は残してくださいね」「改変したらソースコードを公開してくださいね」といったルールがありました。
    • PDSには、そうしたライセンス自体が存在しません
  • 完全に自由
    • したがって、利用者は以下のような行為を、誰の許可も得ることなく、何の表示も義務付けられることなく、完全な自由をもって行うことができます。
      • 利用
      • 複製
      • 改変
      • 再配布
      • 販売(商用利用)

まさに、社会全体の共有財産として、誰でも、どんな目的でも利用できるソフトウェアなのです。

他のソフトウェアとの自由度の比較

これまでに学んだソフトウェアを、自由度の高さで並べてみましょう。

自由度 高 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 自由度 低

PDS > OSS / フリーソフトウェア > フリーウェア > 商用ソフトウェア

  • PDS: 制限なし。完全に自由。
  • OSS / フリーソフトウェア: ライセンスの範囲内で自由。
  • フリーウェア: 無料で使えるが、改変などは基本的に不自由。
  • 商用ソフトウェア: お金を払って、決められた範囲内でのみ使用可能。

PDSは「著作権が放棄された」ソフトウェアであり、ライセンスすら存在しない完全に自由なものです。

現代では、開発者の権利などをある程度保護するオープンソースライセンス(MITライセンスなど)が使われることが多いため、大規模で有名なアプリケーションがPDSであるケースはそれほど多くありませんが、IT社会の根幹を支える重要なソフトウェアにPDSの例を見つけることができます。

以下に、主なパブリックドメインソフトウェアを挙げます。

  1. SQLite (エスキューライト)
    • これは最も有名で、かつ最も広く使われているPDSの一つです。
    • SQLiteは、サーバーを必要としない軽量なデータベースのプログラムです。
    • 実は、皆さんが使っているスマートフォン(Android、iPhone)、Webブラウザ(Chrome, Firefox, Safari)、その他多数のアプリケーションの中に組み込まれており、意識しないうちにお世話になっている可能性が非常に高いソフトウェアです。
    • そのソースコードはパブリックドメインとして公開されています。
  2. NASAが開発したソフトウェア
    • アメリカの連邦政府機関によって作られた著作物は、米国の法律により原則としてパブリックドメインになります。
    • そのため、NASA(アメリカ航空宇宙局)が開発したソフトウェアの多くはPDSとして公開されています。
    • 例えば、「WorldWind」という3Dの地球儀ソフトウェア(Google Earthのようなもの)などが有名です。
  3. 一部の暗号化アルゴリズムの実装
    • セキュリティ分野で使われる暗号のプログラムの中には、誰でも自由に、制約なく利用できるように、パブリックドメインとして公開されているものがあります。

これらの例から分かるように、PDSは必ずしも派手なアプリケーションばかりではありませんが、ITインフラの目に見えない部分で社会を支えている重要なソフトウェアが多いのが特徴です。

まとめ

パブリックドメインソフトウェア(PDS)は、著作者が著作権を放棄した、社会の共有財産となっているソフトウェアです。

ライセンスによる制約すらなく、商用利用を含めて、完全に自由に利用できる最も自由度の高いソフトウェアである、という点をしっかり理解しておきましょう。

本キーワードの関連情報

今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。

カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」

4. 知的財産権

目標「知的財産権にはどのような種類があり、何が法律で守られ、どのような行為が違法に当たるのかの基本を理解する。」

説明「コンピュータプログラムや音楽、映像などの知的創作物に関する権利は、法律で守られていることを理解する。」

(4) ソフトウェアライセンス

  • 権利者が他者と契約を結び、利用許諾を与える方法であること。

参考・引用元資料

【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html


ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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