「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「フリーソフトウェア」です。
大まかに説明すると
フリーソフトウェアは、利用者の「自由」を最大限に尊重するソフトウェアのことです。
ここでの「フリー」は「無料(Free of charge)」ではなく「自由(Freedom)」を意味します。
具体的には、①利用する自由、②仕組みを研究し改変する自由、③複製する自由、④改変したものを配布する自由、という「4つの自由」が保障されています。
結果的に無料で利用できることが多いですが、本質はあくまで利用者の権利と自由を守るという思想にあります。
フリーソフトウェアとは?「無料」ではなく「自由」なソフトウェア
はじめに
「このアプリ、フリーソフトだから無料で使えるよ!」こんな会話を聞いたことはありませんか?
多くの人が「フリーソフト=無料のソフト」と認識していますが、実はITの世界で言う「フリーソフトウェア」は、少し違う、もっと深い意味を持っています。
今回は、オープンソースソフトウェア(OSS)とよく似ていますが、その背景にある「思想」が異なるフリーソフトウェアについて解説します。
この違いを理解できると、ITの知識が一段と深まります。
フリーソフトウェアの「フリー」は「自由」
フリーソフトウェア(Free Software)の「フリー」は、「無料(Free of charge)」ではなく、「自由(Freedom)」を意味します。
これは、フリーソフトウェア財団(FSF)を設立したリチャード・ストールマン氏が提唱した概念で、すべてのソフトウェア利用者が以下の「4つの本質的な自由」を持つべきだ、という思想に基づいています。
- 第0の自由
- どんな目的のためであれ、プログラムを実行する自由。
- 第1の自由
- プログラムがどのように動いているかを研究し、必要に応じて改造する自由。(その前提としてソースコードへのアクセスが必要)
- 第2の自由
- プログラムを自由に複製し、隣人を助けることができる自由。
- 第3の自由
- プログラムを改良し、その改良点を社会全体が利益を受けられるように、公衆に発表する自由。(その前提としてソースコードへのアクセスが必要)
つまり、フリーソフトウェアとは、利用者の自由を束縛せず、ソフトウェアを共有し、改変し、学び合うことを最大限に尊重するソフトウェアのことなのです。
無料ソフト「フリーウェア」との違い
一般的に「無料のソフト」という意味で使われるのは「フリーウェア(Freeware)」です。
- フリーソフトウェア:
- 思想
- 利用者の「自由」が最も重要。
- ソースコード
- 必ず公開されている。
- 価格
- 結果的に無料であることが多いが、有料の場合もあり得る。
- 思想
- フリーウェア:
- 思想
- とにかく「無料」で使えることが重要。
- ソースコード
- 公開されていないことが多い(作者の自由)。
- 価格
- 必ず無料。ただし、改変や再配布は禁止されていることがほとんど。
- 思想
「フリーソフトウェア」はソースコードが公開されているので、その多くは「オープンソースソフトウェア(OSS)」でもあります。
しかし、OSSが開発の効率性や品質を重視する「開発手法」の側面が強いのに対し、フリーソフトウェアは利用者の権利を守るという「社会運動」「思想」の側面が強い、というニュアンスの違いがあります。
まとめ
ITパスポート試験の文脈では、フリーソフトウェアの「フリー」は「自由」を意味する、という点を必ず覚えてください。そして、単に無料なだけの「フリーウェア」とは明確に区別されることを理解しましょう。
「4つの自由」が保障されていることがフリーソフトウェアの定義であり、その結果として無料で使えることが多い、という関係性を押さえておくことが重要です。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類2「法務」
4. 知的財産権
目標「知的財産権にはどのような種類があり、何が法律で守られ、どのような行為が違法に当たるのかの基本を理解する。」
説明「コンピュータプログラムや音楽、映像などの知的創作物に関する権利は、法律で守られていることを理解する。」
(4) ソフトウェアライセンス
- 権利者が他者と契約を結び、利用許諾を与える方法であること。
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。