
「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「与信管理」です。
目次
大まかに説明すると
与信管理とは、取引先に信用を与え、売掛金や貸付金の回収不能リスクを管理することです。
売掛取引では代金の支払いに一定の猶予期間が設けられ、信頼関係や支払能力に応じて期間が異なります。
与信余力は「与信限度額-既に支払を猶予している金額-受注残」で計算されます。
売掛金や手形、受注残の意味を理解しておくことが重要です。
与信管理とは
与信管理とは、取引の相手方に信用を供与し、貸付や売掛をした際に貸付金の回収や売掛金の回収を管理し、回収不能にならないようリスク管理をしていくことです。
与信とは、信用を供与することで、金融機関においては融資や貸付を行う際に与信力の審査を行っています。
一般企業のビジネスにおいては、売買契約を行う際に商品やサービスとの同時引き渡しではなく、売掛払いすることを指します。
通常の売買では、商品やサービスの提供と同時に支払うのが基本です。
これに対して、売掛の場合、代金の支払いに一定期間の猶予が与えられ、代金の後払いができます。
猶予期間の与え方について
企業によっては、一律月末払いや翌日払いで猶予を与えることもありますが、一般的には取引の相手方ごとに与信を行います。
支払能力が高いほど、取引が長くお互いの信頼関係が築かれているほど、長めの設定になります。
一方、初めて取引する相手や支払い能力が低いと思われる小さな企業や個人事業主、経営が悪化している企業などには短めの設定になるか、与信は与えません。
与信の計算について
ITパスポートにおいては、与信の審査内容よりも、与信余力の計算が問題になります。
計算式は以下の通りです。
与信の余力=(与信限度額)-(既に支払を猶予している金額)-(受注残)
与信余力の計算で出てくる単語で、意味を理解しておきたいものは以下の通りです。
- 与信限度額:代金の支払を猶予できる金額
- 売掛金:未回収の代金
- 手形は:手形に記載された金額を約束した期日までに支払うことを約束した証書
- 受注残:取引先から注文を受けて未納品、未出荷の状態のもの
過去問を解いてみよう
ITパスポートの令和4年問11に与信管理の計算問題が出題されています。
「与信限度額が3,000万円に設定されている取引先の5月31日業務終了時までの全取引が表のとおりであるとき、その時点での取引先の与信の余力は何万円か。
ここで、受注分も与信に含めるものとし、満期日前の手形回収は回収とはみなさないものとする。」
取引 | 日付 | 取引内訳 | 取引金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
取引① | 4/2 | 売上計上 | 400万円 | |
5/31 | 現金回収 | 400万円 | ||
取引② | 4/10 | 売上計上 | 300万円 | |
5/10 | 手形回収 | 300万円 | 満期日:6/10 | |
取引③ | 5/15 | 売上計上 | 600万円 | |
取引④ | 5/20 | 受注 | 200万円 |
この取引先に対する売上の合計は①〜④で、400万円+300万円+600万円+200万円=1,500万円です。
代金が回収済みなのは①の現金回収額400万円のみで、②の手形残と③はまだ未払です。
手形の満期日は6月10日なので、満期日前の未回収の手形は300万円となります。
受注残は④の時点で受注した200万円となります。
計算式に当てはめていきましょう。
与信の余力=(与信限度額)-(既に支払を猶予している金額)-(受注残)
3,000万円-(600万円+300万円)-200万円=1,900万円となります。
与信管理の問題では、与信管理の定義や内容ではなく、計算問題が出題されることがあるので、取引履歴の内容が理解できるようにしておきましょう。
簿記の基本知識などを得ておくと理解がしやすくなります。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(4) 意思決定
・問題を解決するための効率的な意思決定
【活用例】
・与えられた条件の下での意思決定、在庫管理を題材にした業務把握
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。