
「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「シミュレーションのデータ同化」です。
目次
大まかに説明すると
データ同化とは、シミュレーションで得た予測値と実際の観測データの差を埋める作業を指します。
これにより、シミュレーションと実験を融合させ、より正確な結果を導き出します。
データ同化は、シミュレーションの精度向上や設定条件の改善に役立ちます。
シミュレーションのデータ同化とは
数値シミュレーションを行う際には、初期条件や境界条件、パラメータなどを設定して行いますが、条件やパラメータをどう設定するかによってシミュレーション結果に差が生じます。
シミュレーションは、あくまで模擬実験です。
そのため、どのような条件やパラメータを与えるかで結果が左右されます。
シミュレーションで予測を立てたあと、実際に観測や計測を行い、得られたデータとシミュレーションで得られた値との差を埋めていくことをシミュレーションの同化と言います。
シミュレーションで得られた予測値と実際の計測データを同化させ、なじませていく作業のことです。
同化の例
たとえば、横軸に時間軸を取り、時間による経過を予測、計測するシミュレーションと実験を行ったとします。
シミュレーションの結果は、複数のシナリオにより、同様の波を描きながらも、完全には重なっていません。
そこに、実際の実験や観測、計測で得られたデータを置いていきます。
シミュレーションの値と実際のデータの値が重なり合う点をつないでいくと、時間の流れに従って動きを見せる、同化された線を描くことができます。
データ同化の目的と役割
シミュレーションは、あくまでも模擬的な実験で、予測を行うものです。
そのため、得られる値や結果は完全に正確とはいえず、不確実性をはらんでいます。
一方、実際の実験や観測、計測も完璧ではありません。
同じ実験や観測、計測を繰り返せば、同じデータが得られることもあれば、わずかな誤差が生じることも少なくありません。
そのため、シミュレーションで得られる値も実際のデータも完全ではないので、同化を行うことで相互に補完し合い、より正確性の高い値を導くことにつながります。
シミュレーションの設定などが合っていたのか、結果が正しい方法で導けたのかは、実際のデータとの誤差が少ないことで導くことが可能です。
一方、実際に得られたデータがシミュレーションの値に近似していることもあれば、複数のデータのうち、いくつかがかけ離れるようなこともあります。
この誤差を埋めることで、より正確な結果や結論を導くことができます。
これがデータの同化であり、シミュレーションと実験の融合を図ることで、より現実に近い情報を推定することにつなげるものです。
データ同化により、実測したデータによって、シミュレーションモデルの精度を検証し、モデルの設定条件の改善など、精度を上げることにもつなげられます。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(4) 意思決定
・問題を解決するための効率的な意思決定
【活用例】
・与えられた条件の下での意思決定、在庫管理を題材にした業務把握
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。