「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「統計的バイアス(選択バイアス、情報バイアスなど)」です。
目次
大まかに説明すると
統計的バイアスとは、データの選択や収集、分析において生じる偏りや誤差のことです。
これにより分析の精度が下がり、正確な判断が難しくなります。
主な統計的バイアスには、標本の選び方に問題がある「選択バイアス」、データ収集の際に生じる「情報バイアス」、原因や結果に直接関係しない要因が影響する「交絡バイアス」があります。
正しい分析を行うためには、これらのバイアスを認識し、その影響を最小限にすることが重要です。
統計的バイアスとは
統計的バイアスは、実験やデータの分析などを行う際に、選択や収集などのさまざまな要因で生じる偏りや誤差のことです。
標本抽出や測定などの方法により生じるバイアスと言えます。
母集団(データの集まり)から、標本を抽出する際には、さまざまなバイアスが生じることがあります。
ちなみに、バイアスとは、統計学、心理学、行動経済学などの分野でよく用いられている言葉です。
英語のbiasのことであり、日本語では、偏り、偏見、先入観、傾向などを意味します。
認識や思考の偏り、歪みなどが見られる状態を指す言葉です。
このバイアスが生じると、分析や調査の精度が悪くなり、物事を正確に判断することが難しくなるリスクがあります。
正しい分析や調査を行うためには、バイアスの影響をきちんと認識しておくことが大切です。
統計的バイアスを引き起こす原因
統計的バイアスが生じやすいのは、対象の選択、データの収集、結果の分析などを行う際です。
なお、統計的バイアスには、選択バイアス、情報バイアス、交絡バイアスなどの種類があります。
ここで、この3つのバイアスの特徴について解説します。
選択バイアス(selection bias)
選択バイアスは、データやサンプルなどを選択する際に生じるバイアスのことです。
目標の母集団から調査対象のデータを選ぶ際に、母集団を代表するデータを外したり、偏ったデータを選んだりすると、その結果に偏りが生じてしまいます。
情報バイアス(information bias)
情報バイアスは、データやサンプルなどを収集する際に生じるバイアスのことです。
対象者によって回答が変わる方法、対象者によって異なる方法などで調査を行うと、結果にズレ誤差が生じてしまうことがあります。
交絡バイアス(confounding)
交絡(こうらく)バイアスは、交絡と呼ばれることもあります。
データ分析を正しく行ううえで、それを邪魔する第3の要因により生じるバイアスのことを指します。
ちなみに、第3の要因とは、原因や結果でもない要因のことです。
交絡因子や交絡変数などとも呼ばれています。
この第3の要因が調査対象に対して影響を与えると、調査の結果にズレや誤差などが生じてしまうことがあります。
そのため、データ分析を行う際には、第3の要因の存在をしっかりと見極めて、その影響を把握することがポイントです。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(3) データ利活用
・データを分析して利活用することによる、業務改善や問題解決
② データ分析における統計情報の活用
・データから言えること、データが何を意味するかを適切に把握することの重要性
・扱うデータに関する領域(業界,専門分野など)に特化した知識(ドメイン知識)の重要性
・データの発生現場を確認することの重要性
・文献や現象を読み解き、それらの関係を分析・考察して表現すること
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。