「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「第2種の誤り」です。
目次
大まかに説明すると
第2種の誤りとは、帰無仮説が偽であるにもかかわらず、それを棄却せずに誤った結論を出してしまうことです。
この誤りの発生確率はβで表されます。
第1種の誤り(帰無仮説を誤って棄却する)とは逆の関係にあり、検定前にどちらの誤りが重大か検討し、有意水準や検出力を決定することが重要です。
第2種の誤りを防ぐには、十分なサンプルサイズや検出力を確保することが効果的です。
仮説検定と結論の誤り
仮説検定とは、ある仮説が正しいか否かを統計学的に検証する方法です。
母集団に関してある仮説を立て、母集団から得られた標本をもとに確率的に仮設の真偽を判断する方法です。
もっとも、仮説検定で得られる結果は100%確実なものではありません。
仮説検定は確率にもとづいているので、誤った結論を導く可能性があります。
大きく2つの誤りをする可能性が存在しており、それを第1種の誤り、第2種の誤りと呼びます。
第2種の誤りについて
第1種の誤りとは、本当は真である帰無仮説を棄却してしまう場合のことです。
第1種の誤りが起こる確率はαで表されます。
これに対して、第2種の誤りとは帰無仮説が実際には偽であるのに、誤って棄却しない判断をしてしまうことです。
第2種の誤りをおかす確率はβで表されます。
第1種の誤りと第2種の誤りの関係性
第1種の誤りと第2種の誤りが起こるリスクは逆相関の関係になります。
いずれのリスクが高いかは、設定する検定の有意水準と検出力によって決まります。
そのため、検定を行う前に、いずれの誤りがより重大な結果をもたらすかを検討したうえで、第1種の誤りαで表される有意水準を決めることが必要です。
αにより小さい値を用いるほど第1種の誤りが起こるリスクは低くなりますが、低すぎると、実際に差が存在したとしても、差を検出する可能性が低くなってしまいます。
一方、第2種の誤りが起こるリスクは、検定の検出力によって決まります。
そのため、十分な検出力を確保することができれば、第2種の誤りが起こるリスクを低減することが可能です。
実際に差が存在した場合でも、それを検出するのに十分なサイズのサンプルを用意することでカバーできます。
第1種の誤りと第2種の誤りの検定例
2つの誤りをイメージするために、例から検討してみましょう。
防犯アラームの効果検定の例
帰無仮説は、センサーが人の動きなどを検知して泥棒が侵入したと判定されると、防犯アラームが鳴ることです。
この検定の第1種の誤りは、本当は泥棒が侵入したのに泥棒が侵入したと判定されず、防犯アラームが鳴らないこと、第2種の誤りは、本当は泥棒が侵入していないのに、泥棒が侵入したと判定されてアラームが鳴ってしまうことです。
新薬開発にあたっての効果検定の例
帰無仮説は、新薬は従来の薬品と同等の効果が出るとしましょう。
この検定における第1種の誤りは、新薬は本当は従来薬と同等の効果があるのに、同等の効果はなかった(低かった)とされてしまうことです。
一方、第2種の誤りは、新薬は従来の薬品と同等の効果はないのに、同等の効果があると過大評価されてしまうことです。
参考リンク
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(3) データ利活用
・データを分析して利活用することによる、業務改善や問題解決
② データ分析における統計情報の活用
・データから言えること、データが何を意味するかを適切に把握することの重要性
・扱うデータに関する領域(業界,専門分野など)に特化した知識(ドメイン知識)の重要性
・データの発生現場を確認することの重要性
・文献や現象を読み解き、それらの関係を分析・考察して表現すること
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。