「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「カンパニー制」です。
目次
大まかに説明すると
カンパニー制は、複数の事業を持つ企業の組織方法で、各事業を独立企業のように扱います。
各事業には社長がおり、独自の経営を行います。
カンパニー制を導入する目的は、意思決定を速くし、社員の結束を高めること。
しかし、組織内のつながりが弱まることや、結果ばかりが重要視されることなどのデメリットもあります。
カンパニー制とは
カンパニー制とは、複数の事業を持つ企業における組織形態の一つであり、それぞれの事業について独立採算制を導入して、あたかも一つの独立した企業のように扱うものです。
日本の企業では、ソニーが初めて導入したのを皮切りに、トヨタなど数多くの大企業がカンパニー制を導入しています。
カンパニーの運営には、大きな裁量が認められているのも大きな特徴です。
それぞれのカンパニーには社長が置かれ、その社長の方針のもとで経営や人事が行われます。
企業によっては投資の権限が与えられることもあります。その反面、リスクを負うのもそれぞれのカンパニーです。
事業部制や持株会社制との違い
複数の事業を持つ企業の組織形態には、カンパニー制のほかに事業部制や持株会社制があります。
事業部制は、個々の事業について一つの事業部に権限を与えるという点ではカンパニー制に似た面がありますが、事業部はあくまでも企業の中の一部門であるため、独立採算制であるカンパニー制と比べると与えられる裁量の幅は大きくありません。
たとえば、人事についてもカンパニー制であれば実質的に自由ですが、事業部制の場合は本部の判断を仰ぐ必要があります。
持株会社制は個々の事業ごとに子会社を置いて、それぞれの子会社の株式を持株会社が所有して支配する組織形態です。
親会社は基本的に事業を行わず、子会社の株式からの配当で収益を得ることになります。
持株会社制では、各子会社はカンパニー制と同様に大きな裁量権が与えられますが、法律上は大きな違いがあります。
カンパニーは法律上は企業内の一部門として扱われますが、持株会社と子会社は別法人です。
カンパニー制を導入する目的とデメリット
企業がカンパニー制を導入する目的の一つは、意思決定のスピードアップです。
大きな組織になればなるほど意思決定のための手続きが複雑になり、時間を要することになりますが、それでは市場環境の急速な変化に対応することができません。
カンパニー制を導入することによって、各カンパニーによる独自の判断が可能になれば、意思決定までの時間を大幅に短縮することができます。
事業部門を一つのカンパニーとすることで、社員の結束が高まるのもカンパニー制を導入する大きな目的です。
社員一人ひとりが同じ目標に向かうことでモチベーションが高まりますし、社員同士が切磋琢磨することで人材の育成を促す効果も期待できます。
一方で、独立性の高いカンパニー制を導入することは、社員同士の横のつながりを希薄にしてしまうことがあります。
また、独立採算制ということで結果ばかりが重要視されるようになり、新しいことにチャレンジしにくい環境が生まれやすくなりがちです。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
1.経営・組織論
目標「企業活動や経営管理に関する基本的な考え方を理解する。」
説明「担当業務を理解するために,企業の基本的な活動全体を理解する。担当業務の問題を把握し,解決するために必要なPDCA などの考え方や手法を理解する。」
(3) 経営組織
・経営組織に関する基本的な考え方
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。