
「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「予測」です。
目次
大まかに説明すると
ビッグデータ分析による予測は、企業の競争力強化や顧客ニーズの把握に不可欠です。
従来の予測は過去の自社データに限られていましたが、ビッグデータは量、速度、多様性、正確性、価値の5つの要素を持ち、より効果的な未来予測を可能にします。
小売業では顧客体験向上や売上アップ、飲食業ではメニュー開発や価格設定に活用できます。
また、異常気象や災害に合わせた対策も可能となり、コスト削減にもつながります。
従来の予測
従来の予測とは、ビッグデータが登場する以前に行われていた予測方法です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 経験則: 過去の経験や勘に基づいて予測を行う方法です。例えば、「今年は雨が多いから、傘がたくさん売れるだろう」といった予測がこれに当たります。
- 過去のデータ分析: 過去の売上、在庫、スケジュールなどのデータをもとに、将来を予測する方法です。例えば、「過去の売上傾向から、来月の売上を予測する」といったものがこれに当たります。
これらの従来型の予測は、ビッグデータを用いた予測に比べて、以下のような限界があります。
- データ量の少なさ: 企業が保有するデータは限られており、予測に必要な情報が不足する場合があります。
- データの種類の偏り: 企業が保有するデータは、売上や在庫など、自社に関わるデータが中心であり、外部の要因を考慮した予測が難しい場合があります。
- 予測の精度: 過去のデータをもとに予測を行うため、将来の変化やトレンドを正確に予測することが難しい場合があります。
ビッグデータによる予測
ビッグデータを分析することで、将来どうなるかの結果やこれから訪れるであろうトレンド、イベントなどの可能性を予測することができるようになります。
企業が競争に勝ち、トレンドを先取りすることや顧客のニーズを引き出すためには、予測的な分析を行って、新製品の開発や提供、プロモーションを行っていくことが必要です。
また、将来を予測することで異常気象への対応やトレンドや災害などにもとづく需要急増によるサプライチェーンへの影響などもあらかじめ配慮することができ、コスト削減や損失を抑えることにもつながります。
従来の予測とビッグデータによる予測の違い
従来、仕入れをした場合や販促マーケティングを行う場合には、経験則といった主観に頼ることや売上、在庫、スケジュール、稼働率、収益といった自社に蓄積された過去のデータをもとに予測分析を行っていました。
これに対して、ビッグデータを利用することで、自社にはない大量のデータから、より効果的な未来予測をすることが可能となります。
ビッグデータとは、Volume(量)、Velocity(速度)、Variety(種類)の3つのVを持つほか、Veracity(データの正確性)、Value(価値)も持ち合わせるデータです。
大量に蓄積された多様なデータなので、一企業が持ち合わせる限られたデータに比べて、より正確性も高く、用いる価値も高まります。
データの種類も多様で、性別や年齢といった単純なデータや購買額などの数値データにとどまらず、画像や音声などの非構造化データなど、多岐にわたります。
ただし、ビッグデータは大量なので、高速でのやりとりが欠かせません。
そのため、迅速に処理できるシステムの導入も必要になってきます。
予測的分析でできること
ビッグデータを用いて予測的な分析を行うことで、売上アップを図ることや業務効率アップや生産性アップ、コスト削減などが可能です。
たとえば、小売店であれば、実店舗とオンラインストアの両方で顧客体験を高めて、売上アップを図ることやレストランでは顧客の目的や趣向、食習慣などに合わせたメニューの開発や価格設定などをすることができます。
予測的な分析を行うことで、将来の仕入れや在庫管理などにも活かすことができます。
近い将来起こるであろう異常気象の影響に合わせて、販売するものを調整することや安い時期にあらかじめ原材料を確保することも可能です。
無駄を省き、より利益が上がる分析につながるのです。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(4) 意思決定
・問題を解決するための効率的な意思決定
【活用例】
・与えられた条件の下での意思決定、在庫管理を題材にした業務把握
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。