《セキュリティ用語解説》ゼロトラスト、EPP、EDR、XDR、BAKとは何か。大まかな説明付き。「中小企業やSOHOに必要な ITセキュリティ」

目次

大まかに説明すると

ランサムウェア対策のひとつの考え方であるゼロトラストは、「信頼しないこと」を前提に、内部・外部を問わず全てのアクセスを厳しく管理するセキュリティモデルです。

外部からの攻撃や、内部の不正アクセスからデータを守ろうとする考え方の一つです。

ゼロトラストを支える技術には、エンドポイントを守るEPP、不審な挙動をリアルタイムで検知するEDR、複数システムを監視するXDR、そしてデータ損失に備えるBAK (Backup) が含まれます。

これらのツールは相互補完的に機能し、企業のセキュリティ対策、ランサムウェア対策を強化します。

そのため、中小企業やSOHOには、EPP、EDR、XDR、BAK (Backup) の導入が効果的です。

人材不足にも有効なほど管理負担を軽減し、データ復旧とBCP(事業継続計画)をサポートします。

ゼロトラスト(Zero Trust)

ゼロトラスト(Zero Trust)とは、従来の「境界防御」の考え方を見直し、「信頼しないことを前提」にしてシステムやネットワークを保護するセキュリティの考え方(セキュリティモデル)です。

ゼロトラストでは、内部・外部に関係なく全てのアクセスを厳しく認証・確認し、「常に疑う」ことを基本としています。

ゼロトラストの重要性

ゼロトラストは、従来の境界防御だけでは対策が難しいサイバー攻撃の多様化や内部不正に対応するために生まれました。

リモートワークやクラウドの普及でシステムやデータへのアクセス経路が増える中、ゼロトラストの概念は企業のセキュリティ強化に欠かせないものとなっています。

具体的には、ゼロトラストは以下のようなリスクに有効です。

  • 外部からの不正アクセス
  • 内部からの不正アクセス
  • マルウェアやランサムウェアの侵入・拡散
  • 重要データの不正利用や漏洩

ゼロトラストは「信頼しない」前提で、全てのアクセスとデータを守るポリシーです。

EPPはエンドポイント防御、EDRとXDRは継続的な脅威検知、BAKはデータ損失からの復旧手段としてゼロトラストと連携し、各々の技術が協力して企業の安全性を高めます。

こうしてゼロトラストに基づくセキュリティモデルにおいて、EPP、EDR、XDR、BAKは必要不可欠な役割を果たし、脅威を事前に防ぐと同時に、万一のリスクにも備える仕組みを提供します。

EPP (Endpoint Protection Platform)

EPPは、エンドポイント(PCやスマートフォン、タブレットなど)のセキュリティを確保するためのプラットフォームです。

いわゆる、セキュリティソフト、アンチウイルスソフト、と呼ばれているものです。

ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどの基本的なセキュリティ機能を提供し、端末の感染を未然に防ぎます。

サイバー攻撃が高度化する中で、エンドポイントの保護がより重要になっています。

EPP の必要性

中小企業やSOHOでも従業員が使用するPCやスマートフォンがサイバー攻撃の対象になります。

企業規模が小さいと、専任のセキュリティ担当者を配置するのは難しいため、EPPを導入して端末を守ることが重要です。

特にランサムウェアやフィッシング攻撃などが日常的に行われる中で、基本的なウイルス対策や不正アクセス防止機能を備えたEPPが、事前の防御策として役立ちます。

ゼロトラストにおける EPP

EPPはゼロトラストの基本的なエンドポイント保護として位置づけられ、ネットワークやシステム内の感染拡大を防止します。

ゼロトラストの考え方

ゼロトラストの考え方では、端末の位置やユーザーにかかわらず、すべてのアクセスを疑い、端末ごとにしっかりとしたセキュリティ対策が求められます。

EPPの役割

EPPは端末のウイルスやマルウェア対策のための基本的な防御として機能し、ゼロトラストの一環として重要な役割を果たします。

EPPがマルウェアを防ぐことで、ネットワークに侵入する前に多くの脅威を阻止できます。

EDR (Endpoint Detection and Response)

EDRは、エンドポイントで発生する脅威や攻撃を検知し、対処するためのシステムです。

EPPが主に防御を目的とするのに対し、EDRは攻撃が発生した後の監視、検知、分析、対応に重点を置いています。

EDRによって、端末内で発生する不審な動作や異常をリアルタイムで監視し、迅速に対応することが可能です。

EDR の必要性

中小企業やSOHOの場合、攻撃が実際に発生してから気づくまでの時間が長くなると、被害が甚大化するリスクが高まります。

EDRを導入すると、エンドポイントの異常な挙動や不審なアクセスをリアルタイムで監視・検知できるため、攻撃発生時に迅速に対応できます。

EDRは、感染拡大や情報漏洩の被害を最小限に抑えるための迅速な検知と対応を可能にし、特に規模が小さい企業においても重要な役割を果たします。

ゼロトラストにおける EDR

EDRはゼロトラストの継続的な監視や即応体制における重要なツールとなり、内部ネットワークの安全性を保ちます。

ゼロトラストの考え方

ゼロトラストは、ネットワークにアクセスする端末の監視を求め、異常な行動やアクセスは即座に検出されるべきとしています。

EDRの役割

EDRは端末内での異常行動や攻撃を検知・対処するシステムで、リアルタイムの監視が可能です。ゼロトラストと組み合わせることで、端末上での異常が即座に検知・対応され、サイバー攻撃による被害を最小化します。

XDR (Extended Detection and Response)

XDRは、EDRをさらに発展させたもので、ネットワークやサーバーなどのエンドポイント以外も含めた、より広範囲のセキュリティデータを収集・分析する仕組みです。

XDRは複数のセキュリティ情報を統合的に管理し、脅威に対する包括的な検出・対応を行うため、サイバー攻撃に対してより高度な防御を実現します。

XDR の必要性

中小企業やSOHOでは、ITリソースが限られていることが多いため、複数のセキュリティ情報を一元管理できるXDRが有用です。

XDRは、エンドポイントだけでなく、ネットワークやクラウドなど複数のシステムを横断的に監視し、攻撃の兆候を総合的に検出します。

これにより、特定の端末や範囲に限定されない包括的なセキュリティ対策が可能になり、複数のツールを統合して管理負担も軽減できます。

ゼロトラストにおける XDR

XDRはゼロトラストの包括的な監視を支援するシステムとして、異常をより広範囲かつ迅速に発見し、ゼロトラストのセキュリティポリシーを実行可能にします。

ゼロトラストの考え方

ゼロトラストは、ネットワーク全体を監視し、脅威に対応できる体制を要求します。また、複数のシステムが連携して異常を検出する仕組みも求められます。

XDRの役割

XDRは、エンドポイントだけでなくネットワークやクラウドなど、複数のシステムを横断的に監視し、脅威を一元管理します。ゼロトラストの一環としてXDRを使用することで、全体のセキュリティデータを統合し、より早い脅威検出が可能です。

BAK (Backup)

BAKは、データの「バックアップ」を意味する略称です。

重要なデータを他の場所(クラウドや外部ハードドライブなど)に定期的に複製して保存することで、システム障害やサイバー攻撃によるデータ損失に備えます。

特に、ランサムウェアなどによるデータ破壊のリスクが増加している現在、バックアップは企業にとって重要な対策となっています。

BAK の必要性

中小企業やSOHOでも、データはビジネスの基盤であり、万が一のデータ損失は業務に大きな影響を与えます。

特にランサムウェアによるデータ破壊や暗号化攻撃が増加しており、定期的なバックアップがなければ、業務再開が難しくなるリスクがあります。

BAKは、このようなリスクを軽減し、データを迅速に復元する手段を提供します。

バックアップを行うことで、万が一の障害や攻撃からも事業を継続しやすくなります。

ゼロトラストにおけるBAK

BAKはゼロトラストの「常に備える」姿勢を支える重要な要素であり、システム障害やサイバー攻撃が発生した際にも迅速に事業継続を図れます。

ゼロトラストの考え方

ゼロトラストでは、信頼しないことを前提とするため、万が一データが損失するリスクに備えることも求められます。

BAKの役割

BAKはデータを定期的にバックアップし、ランサムウェアやシステム障害などによるデータ損失からの迅速な復旧を可能にします。

ゼロトラスト体制の中でバックアップを整備することで、サイバー攻撃やデータ消失のリスクに備えることができます。

中小企業・SOHOがこれらの対策を導入するメリット

顧客や取引先の信頼性向上

セキュリティ対策を講じていることは、顧客や取引先にとっても安心材料になります。特に、機密情報や個人情報を扱う事業では、信頼を得るためにセキュリティは不可欠です。

攻撃による被害を最小限に抑える

リソースが限られている企業にとって、一度の攻撃が大きな損失につながる可能性があります。対策を講じることで、攻撃が成功した場合でも影響を限定的に留めることができます。

法的・規制上の対応

情報保護法や業界ごとの規制も厳しくなっており、一定のセキュリティ対策を行うことが求められます。これに対応することで、罰則や取引のリスクを回避できます。

人材不足にも有効

大まかに説明すると

これらのセキュリティ対策は、人的リソースが限られている中小企業やSOHOにとって、管理の負担軽減とリスク最小化に有効です。

専門的なスキルがなくても運用でき、セキュリティ対応の一部を自動化することで、人的リソースを効率よく活用できます。

業務効率化と自動化による負担軽減

EPPやEDR、XDRは自動的にエンドポイントやネットワークの監視、脅威の検出を行うため、専任のセキュリティ人材がいなくても基本的なセキュリティ業務をカバーできます。

これにより、限られた人材リソースであっても業務負担を軽減し、他の業務に専念できる環境が整います。

例えば、EDRやXDRは異常検知を自動で行い、疑わしい動きがある場合には通知を発するため、システム担当者が全ての動きを手作業で確認する必要がなくなります。

また、脅威が発生した際の初期対応もある程度自動化されているため、迅速に対処できるのも人材不足の課題解決に役立ちます。

専門スキルの必要性を減らす

XDRなどのプラットフォームは、通常多機能でありながら、使いやすさにも配慮されていることが多いです。

セキュリティ分析に必要なデータが統合されて一元管理されるため、専門的なセキュリティスキルがない担当者でも、ある程度の管理や判断が可能です。

また、ダッシュボードで重要な情報が整理されるため、インシデント対応や日常的な監視業務を効率的に行えるようになります。これにより、専門人材の不足を補完しやすくなります。

事業継続計画(BCP)の実現による安心感の向上

バックアップ(BAK)は、システム障害やサイバー攻撃が発生した場合の復旧手段として、事業継続計画(BCP)にとって重要な役割を果たします。

データの消失リスクを低減することで、サイバー攻撃が原因のダウンタイムを短縮でき、事業に与える影響を最小限に抑えることができます。

これにより、少ない人材で事業を安定的に継続できるため、従業員の負担も軽減され、安心感も増します。

クラウドベースのソリューションによる管理の容易化

最近のセキュリティ対策にはクラウド型のものも多く、EPPやXDRもクラウドベースで提供されることが増えています。

クラウド型はインフラ管理の手間が少なく、常に最新のセキュリティアップデートが適用されるため、限られたIT人材であっても運用負担を減らせます。

これにより、内部で高度なシステム管理者を確保する必要が少なく、外部リソースを活用してセキュリティを維持できます。

サイバー攻撃の影響範囲を最小限に抑え、人的リソースを保護

サイバー攻撃を未然に防ぐことができれば、攻撃発生後の対応に割かれる人的リソースを節約できます。

例えば、ランサムウェア攻撃を受けてデータが暗号化されてしまうと、復旧作業に多大な労力が必要となりますが、事前のセキュリティ対策やバックアップがあれば、被害の範囲を最小限にとどめ、人的リソースの有効活用が可能です。

これは特に人材不足が深刻な場合には大きなメリットです。

オススメの EPP、EDR、XDR、BAK ソフトウェア / クラウドサービス

オーインワン / 全ての機能を網羅

Acronis Cyber Protect Cloud(クラウドサービス)

※弊社ファーストリポート合同会社で、導入+運用保守+総合ITサービスあります「SystemTeams + Security(月額 PC/SV 1台 1,500円+税)」

EPP だけだけど、一元管理できる管理WEBコンソール機能あり

トレンドマイクロ VBBSS / ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス(クラウドサービス)

EPP + EDR で、一元管理できる管理WEBコンソール機能あり

LANSCOPE サイバープロテクション CylancePROTECT + CylanceOPTICS(クラウドサービス)

EPP + XDRで、一元管理できる管理WEBコンソール機能あり

トレンドマイクロ VBBSSマネージドXDR(クラウドサービス)

参考:EP だけ、一元管理機能も無し

Microsoft Defender(Windows 標準機能)


ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

SystemTeams
おすすめの記事