「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「第1種の誤り」です。
目次
大まかに説明すると
第1種の誤りとは、仮説検定において、帰無仮説が正しいにもかかわらず、それを誤って棄却してしまうことを指します。
この誤りを犯す確率は有意水準αで表され、αを低く設定すると誤りのリスクは減りますが、実際に差があっても見逃す可能性が高まります。
仮説検定を行う際には、第1種の誤りと第2種の誤りのリスクを考慮し、結果の重大性に応じて適切な有意水準を設定することが大切です。
第1種の誤りとは
仮説を立てた場合、100%確実な仮説はありません。
仮説検定は確率にもとづくので、誤った結論を導く可能性も必ず潜んでいます。
第1種の誤りとは、仮説検定を行う場合に、テストの状態と実際の状態が異なる過誤を犯す一つのパターンのことです。
帰無仮説が実際は正しいのに、誤りだと判断され棄却されることを第1種の誤りと呼びます。
対立仮説が間違いであるにもかかわらず、間違っている対立仮説のほうが選ばれる状態です。
第1種の誤りを犯す確率はαで表されます。
仮説検定のために設定する有意水準であり、たとえばαが0.05とすれば、帰無仮説を棄却するという判断をする場合に、5%は誤った選択をすることを受け入れていることになります。
判断を誤るリスクを低減するには、αより小さい値にしなくてはなりません。
もっとも、αより低い値を使用することは、実際に差が存在しても、それを検出する可能性が低くなることも意味します。
第1種の誤りの事例
第1種の誤りの事例としては、2つのものを比較するケースなどさまざまありますが、ここでは単純な事例で見てみましょう。
生卵と茹で卵が混在してしまい、最後に残った1個がどちらなのかわからなくなったとします。
帰無仮説はこれは生卵である、対立仮説はこれは生卵ではないと立てました。
この際、帰無仮説が正しかったのに棄却し、対立仮説を採用した場合、茹で卵だと思って割ったところ、どろどろと生卵があふれてしまうので大変なことになります。
帰無仮説を棄却したことを第1種の誤りと呼びます。
一方、逆に帰無仮説が間違っていて、実際には茹で卵であった場合に、帰無仮説のほうを採用することは第2種の誤りです。
親子丼を作ろうとして、鶏肉と玉ねぎを煮ていたのに、生卵ではないと卵とじにすることができません。
つまり、第1種の誤りは帰無仮説が正しいのに棄却してしまうことで、第2種の誤りは帰無仮説が誤っているのに採択してしまうことです。
仮説検定の注意点
仮説検定を実行する際は、帰無仮説を棄却するか、採用するか判断する前に第1種の誤りと第2種の誤りを犯すリスクについて比較検討することが必要です。
どちらの誤りを犯すことで招く結果が、もう1つの誤りより重大である場合やコストが大きくなる場合には、その結果の重大性に応じて検定の有意水準と検出力を選択することが必要です。
仮説検定を行う場合、あくまでも仮説であって100%正しい結論はない以上、常に2種類の判断ミスを犯すリスクがつきまとっています。
99%正しいと統計学的に判断されたとしても、残りの1%はそうではないリスクがあります。
参考リンク
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(3) データ利活用
・データを分析して利活用することによる、業務改善や問題解決
② データ分析における統計情報の活用
・データから言えること、データが何を意味するかを適切に把握することの重要性
・扱うデータに関する領域(業界,専門分野など)に特化した知識(ドメイン知識)の重要性
・データの発生現場を確認することの重要性
・文献や現象を読み解き、それらの関係を分析・考察して表現すること
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。