《 iパス用語解説》有意水準とは何か。大まかな説明付き。IT / ICT Glossary「IT担当者からのファーストリポート」

「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。

iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。

今回のキーワードは「有意水準」です。

大まかに説明すると

有意水準とは、統計学において検定結果が意味のあるものかどうかを判断するために、あらかじめ設定される基準の確率です。通常、1%、5%、10%のいずれかが使われます。

たとえば、有意水準を0.05に設定し、5%以下の確率で稀な事象が起こる場合、その事象は偶然ではなく意味があると判断され、帰無仮説は棄却されます。

結果として、対立仮説が支持される可能性が高まりますが、誤って棄却するリスクもあります。

有意水準とは

有意水準の有意とは、「意味が有る」という意味で、水準は、「基準となる数値」のことです。

統計学で有意水準はどのような基準となるかというと、統計量として得た値を意味のあるものと解釈して良いか否かを判定するために、あらかじめ決めておく確率を指します。

具体的には、検定をする際に帰無仮説を設定し、その帰無仮説を棄却する基準となる確率です。

帰無仮説とは、データの平均の差が偶然によるものということを指します。

有意水準はαで表され、慣例的に1%(0.01)、5%(0.05)、10%(0.10)のいずれかを使うケースが多いです。

有意水準となるαの値は、検定を行う前に設定しておかなくてはなりません。

αが示すこと

有意水準αを、たとえば0.05に設定した場合、検定においてどのような意味を持つのでしょうか。

帰無仮説を受け入れるか棄却するかを判定する際に、5%以下の確率で起こる事象は、100回に5回以下しか起こらない稀な事象であることを意味します。

検証によって5%を下回った場合には、極めて珍しい事象が起きた、稀な事象が起きたということは偶然起こったものではなく、何かしら意味が有る、有意であるということです。

有意であるということは、偶然ではなく意味のある結果ですので、帰無仮説は棄却されると判断されます。
もっとも、5%以下であったとしても、実際には偶発的に稀な事象が起こったのかもしれません。

そのため、有意水準は帰無仮説が正しいにもかかわらず、誤って棄却してしまう確率でもあるため、注意が必要です。

有意水準と検証の例

あるサッカー解説者に、世界大会の試合の勝敗を予想してもらったところ、6試合連続で勝利チームの予想が的中したとしましょう。

では、この解説者は勝敗予想能力が高いのでしょうか、それとも偶然だったのでしょうか。

試合の勝率は常に1/2とし、有意水準αは0.05に設定します。

帰無仮説は「この解説者は予想能力はない」と仮説を立て、対立仮説として「この解説者は予想能力がある」とします。

この前提のもとで、帰無仮説について検証を行い、棄却できるか考えてみましょう。

帰無仮説に従い、解説者に予想能力がなかったとした場合、各試合の勝利チームを当てる確率は1/2であり、6試合連続で勝利チームを当てる確率を計算すると以下のようになります。

(1/2)⁶=1/64=0.015625と計算でき、確率に直すと1.5625%です。

有意水準は0.05で5%に設定しているため、1.5625%は非常に稀にしか起こらないことがわかります。

つまり、1.5625%は稀にしか起こらない有意な事象なので、帰無仮説は棄却されることになりました。

結果として、対立仮説である「この解説者には予想能力がある」という結果が正しいと判断されます。

本キーワードの関連情報

今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。

カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」

2. 業務分析・データ利活用

目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」

説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」

(3) データ利活用

・データを分析して利活用することによる、業務改善や問題解決

② データ分析における統計情報の活用

・データから言えること、データが何を意味するかを適切に把握することの重要性
・扱うデータに関する領域(業界,専門分野など)に特化した知識(ドメイン知識)の重要性
・データの発生現場を確認することの重要性
・文献や現象を読み解き、それらの関係を分析・考察して表現すること

参考・引用元資料

【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html


ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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