「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「クロスセクションデータ」です。
目次
大まかに説明すると
クロスセクションデータとは、ある時点で複数の項目のデータをまとめて分析する方法です。
たとえば、「令和5年の世帯数、人口、事業所数」を使って、これらの項目の関係を見ます。
この方法は、同じ時点のデータを比較することで正確な相関関係を把握するのに役立ちます。
ただし、時間の経過による変化はわからないため、未来予測には別の分析が必要です。
目的に応じて、適切な時点でデータを切り出すことが大切です。
クロスセクションデータとは
クロスセクションデータは、横断面データとも呼ばれます。
複数の項目のデータをある時点で横断的に見た場合のデータです。
自治体がこの手法で多くの統計データを取っていますが、いろいろな項目の相関関係を見るためにとても有効です。
自治体の統計データには、以下の3つのデータがありますが、それぞれは時系列データであってクロスセクションデータではありません。
- 各年の世帯数のデータ
- 各年の人口データ
- 各年の事業所数のデータ
たとえば、これを「令和5年」という時点で横断的に切り取ると、それがクロスセクションデータとなります。
なぜクロスセクションデータが必要なのか
クロスセクションデータは、特定の時点でいろいろな項目のデータを切り出すため、時間軸に関係なく複数の項目の相関関係を見ることができます。
たとえば、前述した例で言えば、世帯数・人口・事業所数のデータがそれぞれ違う年のものでは正確な分析はできません。
同じ時点で切り出してクロスセクションデータにするからこそ、はじめて精密な分析が可能となります。
それぞれの数の増減にはどのような関係があるか、より具体的な実態を把握するためには有効と言えるでしょう。
ただし、クロスセクションデータを分析に活用する場合は、あらかじめ目的を明確にすることが重要です。
まずどの時点で切り出すか、どの項目のデータを切り出すかを適切にするためには、目的の明確化が必須となります。
クロスセクション分析の必要性とは
時系列データは、特定の項目に関して時間の経過による変化を把握することができます。
クロスセクションデータも広い意味では時系列データの一つと言えますが、同時に複数のデータから分析できるのが特徴です。
より大きな範囲で照合したり比較したりすることを容易にするため、市場分析時などにもよく活用されます。
ただ、時間軸を固定してしまうため、時間経過による推移は分析から除外される点には注意が必要です。
わかるのはあくまで切り取った時点での相関関係であり、未来予測を行う際にはほかの分析手段が必要となります。
前述の例で言えば、令和5年時点の世帯や人口、事業所数の関係がわかっても、翌年にどう影響するかまではわかりません。
時系列データと合わせて分析することではじめて予測がつくこともあるため、より正確な結論を導き出すためには注意が必要です。
目的に合ったデータを適切な時点で切り出すことで、精度の高い分析が可能となります。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
2. 業務分析・データ利活用
目標「身近な業務を分析し、データの利活用によって問題を解決するための代表的な手法を理解し、活用する。業務を把握する際のビジュアル表現を理解し、活用する。」
説明「身近な業務を把握して分析する手法、代表的なビジュアル表現、データ利活用、OR(Operations Research)及びIE(Industrial Engineering)の手法を理解し、活用する。」
(3) データ利活用
・データを分析して利活用することによる,業務改善や問題解決
① データの種類及び前処理
・データを集める目的,集めるデータの種類及び特徴
・データ利活用のための簡単な前処理
・機械判読可能なデータの作成、表記方法
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。