「IT / ICT Glossary」シリーズでは、主に国家資格「ITパスポート(iパス)」に関連した用語を解説致します。
iパスの学習範囲は「企業と法務」など、システム以外の分野も含まれていますので、業種・職種に関わらず、社会生活を送る上で、とても参考になると考えています。
今回のキーワードは「マトリックス組織」です。
目次
大まかに説明すると
マトリックス組織は、企業の組織形態の一つで、通常の「事業部制組織」と「職能別組織」とは異なります。これは、従業員が一つの部門に所属せず、複数の部門で業務を行う形態です。
この組織では、命令系統は複雑になりがちですが、柔軟で効率的な組織を作り出すことができます。
メリットとして、マトリックス組織は業務の効率化や柔軟な人事リソース活用が可能で、コスト削減にも寄与します。
マトリックス組織とは
従来の企業では、取り扱う製品や担当する地域ごとに組織を分けた「事業部制組織」や開発・営業・経理などの職能ごとに分けた「職能別組織」が採用されていましたが、どちらも縦割り組織であり、従業員は自分の所属する部門の業務に専念することが求められました。
一方、「マトリックス組織」は事業部や職能といった所属にこだわることなく、従業員が複数の部門に所属しながら業務を行うのが特徴です。
これによって、従業員はこれまでの縦関係だけでなく新しく横関係も生じることになり、まるで網目状のように交差した組織の中に身を置くことになります。
このような組織形態をマトリックス組織と呼びます。
マトリックス組織では、一度に複数の管理者から指示を受けることになるので命令系統が複雑になりがちですが、部門間の壁がなくなり柔軟な組織を形成することが可能です。
マトリックス組織の種類
一般的にマトリックス組織と呼ばれるものは大きく次の3つの種類に分けることができます。
1.ストロング型
組織内に独立したプロジェクトチームを作り、そのプロジェクト全体を管理する責任者(マネージャー)を設置する組織形態です。
通常、責任者はプロジェクトの内容に関して豊富な知識や経験を持った人が選出されます。
確固たるリーダーがいることでやるべきことが明確になり、効率的な業務遂行が可能となります。
2.バランス型
プロジェクトメンバーからリーダーを選ぶ組織形態です。
プロジェクトの内部にリーダーがいることで状況把握しやすいというメリットがありますが、選出されたリーダーの負担は大きくなります。
また、プロジェクトにはそれぞれの部門長もいるため、意見の調整が難しくなることがあります。
3.ウィーク型
プロジェクトの責任者を置かない組織形態です。
すべての行動はプロジェクトメンバー一人ひとりの裁量に任されることになるので、臨機応変に動けるフットワークの軽い組織が作れますが、一方で全体を俯瞰で眺める人がいないとまとまりに欠ける組織になってしまいがちです。
マトリックス組織のメリット
マトリックス組織を導入する最大のメリットは業務の効率化です。
プロジェクトには、複数の部門から専門知識やスキルを持った従業員が加わるため、スムーズに業務を遂行することができます。
また、プロジェクトの全体像が見えやすくなるため、従業員それぞれの責任感や意識も強くなります。
人事リソースを柔軟に活用できるのもメリットです。
従来の事業部制組織や職能別組織では、プロジェクトの内容によって大きな人事異動や新規採用を伴うことがありましたが、マトリックス組織であれば各部門から適した人材を集めるだけなので、人事異動などは必要ありません。
もちろん、人事異動や新規採用に伴う費用も発生しないのでコスト削減にもつながります。
本キーワードの関連情報
今回のキーワードは、ITパスポート試験シラバスの、以下カテゴリに分類されています。
試験のご参考にもなれば幸いです。
カテゴリ:ストラテジ系 / 大分類1「企業と法務」 / 中分類1「企業活動」
1.経営・組織論
目標「企業活動や経営管理に関する基本的な考え方を理解する。」
説明「担当業務を理解するために,企業の基本的な活動全体を理解する。担当業務の問題を把握し,解決するために必要なPDCA などの考え方や手法を理解する。」
(3) 経営組織
・経営組織に関する基本的な考え方
参考・引用元資料
【ITパスポート試験】試験内容・出題範囲
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html
ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。